BREXIT(ブリグジット)から考えるワークシェアリング

英国はEUを離脱するのか?

英国のEU離脱が喫緊のテーマになっている。

英国にとってはEUは大きな貿易相手国であるから、EUとの交易にブレーキが掛かるのは大問題だ。そこにある企業にとっても他国とスムーズに取引できたモノにいきなり関税や通関作業が掛かるとなると経営のスピードが遅くなりコストもかかる。当然のことながら死活問題だ。

現代の企業が繁栄を極めるのに自由貿易は全ての大前提だろう。世界中の企業から仕入・調達を行い、世界中の顧客に販売する。そのためには通関コストを低くすることだ。イギリスの著名な経済学者デヴィットリカードの定昇した「比較優位」によれば、国も企業も自由貿易をすればするほど得意分野に注力し紅葉とGDPを最大化できるのだ。

例えばあなたの企業が徳島県で仕事をしていて、橋を渡ればすぐ神戸に行けるのにそこに関税が掛かればどうだろうか。あるいは愛媛から資材を仕入れるのに関税が掛かったり通関手続きがかかるとどうなるだろうか。当然徳島県内で全ての調達と販売を行わなければいけないから、調達コストは高くなり、販売価格は下がる可能性もある。総じて会社のみならず働く人たちの賃金も低下しかねない。

総じて後進国が低賃金、低GDPに甘んじている理由はこんなところだ。1990年代にWTOに加盟した中国が沿岸部の経済特区から一気に発展したのも2000年に香港という世界と繋がる自由貿易圏を手に入れてさらに加速した。

英国はそれが国単位で起こりそうなのだから大変な事態なのだ。一方で供給する労働側はどうだろうか?徳島県の企業には徳島県に住んでいる人しか就職できないとしよう。人材の質は下がるかも知れない。でも良い人材の県外流出も少ないだろう。もしかしたら雇用が安定化して賃金はあがるかもしれない。賃金が上がれば徳島県内での消費が上向くだろう。そうなれば狭い県内でも大きく何かが変わる可能性もある。

同じ事は英国にも言えるかも知れない。労働者は英語圏のイギリスに大量に流入している。これらがネイティブイギリス人の仕事を一部追いやっていたのも事実だろう。何事にも表裏があり、メリットがあればデメリットもある。

昨今霞ヶ関は働き方改革の名の下に残業規制をはじめている。これもある面では労働時間の短縮がもたらす残業賃金削減であることは免れない。しかし残業が減って労働者が必要になれば賃金があがるかもしれない。ワークシェアリングで多くの人が働けば犯罪も減るかも知れない。賃金が上がれば消費も上向くかも知れない。子供も多く出来ることもあるだろう。なんでも表裏一体。やってみなけりゃわからない。